大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

静岡家庭裁判所 昭和61年(家)1567号 審判

申立人 本田総一 外1名

相手方 本田文男 外2名

利害関係人 佐野みつ 外9名

被相続人 本田大二郎

主文

1  被相続人本田大二郎の遺産をつぎのとおり分割する。

イ  申立人本田総一は、同目録(編略)(1)ないし(4)記載の各土地を単独で取得する。

ロ  相手方本田文男は、同目録(5)及び(6)記載の各土地を単独で取得する。

2イ  申立人本田総一は、前項イ記載の不動産を取得した代償として、相手方本田恵子に対し金1048万8334円の支払うこととし、その代物弁済として別紙第2物件目録(編略)(1)記載の土地の12802分の11811の共有持分を譲渡し、かつ平成2年11月20日付代物弁済を原因とする所有権移転登記手続きをせよ。

ロ  相手方本田恵子は、申立人本田総一に対し、上記の代物弁済に伴う調整金として金69万6683円を申立人本田総一代理人弁護士○○○○の事務所に銀行送金手続により支払え。

3  相手方本田文男は、上記1ロの不動産を取得した代償として、相手方大石のり子に対し金1048万8334円を、申立人本田総一に対し金651万1666円を、本審判確定後1か月以内に、それぞれから後記の移転登記手続を受けるのと引換えに支払え。

4イ  申立人山本勝、利害関係人佐野みつ、相手方本田総一、利害関係人津山良介、同津山広子、同津山奈津子、同大西正子、同野崎ルリ子、同栗田文子、相手方大石のり子、利害関係人本田絵理子、同本田義雄、同伊沢朋子、相手方同本田恵子は本田総一に対し、別紙物件目録第1(1)ないし(4)記載の土地につき遺産分割を登記原因とする共有持分移転登記手続きをせよ。

ロ  申立人山本勝、利害関係人佐野みつ、同津山良介、同津山広子、同津山奈津子、同大西正子、同野崎ルリ子、同栗田文子、相手方本田恵子は相手方本田文男に対し、同目録(5)、(6)記載の土地につき遺産分割を登記原因とする共有持分移転登記手続をせよ。

ハ  申立人本田総一、相手方大石のり子、利害関係人本田絵理子、同本田義雄、同伊沢朋子は前記3の金員を受け取るのと引換えに本田文男に対し、同目録(5)、(6)記載の土地につき遺産分割を登記原因とする共有持分移転登記手続きをせよ。

5  本件手続費用中、鑑定に要した費用は7等分し、その4を申立人本田総一が、その各1づつを相手方本田文男、同本田恵子、同大石のり子がそれぞれ負担することとし、その余の手続費用は各自の負担とする。

理由

1  一件記録によれば、以下の事実が認められる。

(1)  被相続人本田大二郎は昭和41年12月8日死亡し、その遺産は同人の子等である佐野みつ、本田総一、本田文男、山本真子、津山タツ、本田行雄、本田恵子の7名が相続し、上記山本真子は昭和52年10月3日死亡しその遺産は夫山本久明と長男山本勝の両名が相続し、さらに上記山本久明は平成2年10月9日死亡しその遺産は上記山本勝が相続し、上記津山タツは昭和60年8月24日死亡しその遺産は夫の津山良介、子の津山奈津子、大西正子、野崎ルリ子、栗田文子、津山広子が相続し、本田行雄は昭和62年8月12日死亡し同人の被相続人本田大二郎の遺産に関する相続分は大石のり子が遺産分割によりこれを取得した。

(2)  佐野みつ、山本勝(山本久明より承継したものを含む)、津山良平、津山奈津子、大西正子、野崎ルリ子、栗田文子、津山広子はいずれもその被相続人本田大二郎の遺産についての相続分を本田総一に譲渡し、本田総一はこれを譲り受けた。

(3)  本件審判期日において津山良平、津山奈津子、津山広子を除く当事者間で主文記載の内容を含む合意が成立した。

(4)  上記の合意は、裁判所の提示した調停案に応じたものであるが、上記調停案は、不動産鑑定士による遺産及び生前贈与の評価をもとに、寄与分を加味し、各自の法定相続分及び当事者の希望に従って配分したものであるが、法定相続分と相違する範囲においては当事者間で相続分の譲渡がなされたものとみなされる。

2  そこで、上記の合意のとおり遺産分割をするのが相当であるが、すでに相続分の譲渡をしている利害関係人の一部の出頭が得られないためその者らに対し共有持分の移転登記手続を命ずる必要から、調停によることなく、主文のとおり審判する。

(家事審判官 栗田健一)

編注 理由1の(1)の事実は更正決定により訂正済みのものとして掲載した。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例